外部精度管理調査の概要
外部精度管理調査について
正しい検査結果を得るためには、各検査機関における信頼性保証の取り組みが重要となります。 そのための代表的な方法として精度管理が挙げられます。
外部精度管理は提出された試験結果のみの比較ではなく、各試験室のシステム(検体受入れから報告までの業務の流れ)も評価の対象としています。
システムや検査員の手技の品質の維持向上を目指すために重要な手段として活用が望まれている事業です。
当財団ではそれぞれの監督省庁による適合の確認を受けた外部精度管理調査実施機関として「食品衛生外部精度管理調査」、「食品表示に関する外部精度管理調査」を実施しています。
また一部の調査項目では余剰試料を内部精度管理試料として頒布しております。
今年度のスケジュールはこちらをご参照ください。
「食品衛生外部精度管理調査」※1
検査施設における信頼性確保を目的とした「食品衛生検査施設における検査等の業務管理」(食品GLP)の施行に伴い食品衛生法施行規則に規定され、食品衛生検査施設および登録検査機関では外部精度管理調査への参加が求められています。
当財団では1997年度より厚生省(現厚生労働省)から食品衛生外部精度管理調査実施機関として具備すべき要件の適合の確認※2を受け、食品衛生検査に関わる外部精度管理調査を実施しています。
「食品表示に関する外部精度管理調査」
「栄養成分検査の外部精度管理調査」※3を2017年度より国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所との共催にて実施しています。
「特定原材料検査の外部精度管理調査」※4を2019年度より国立医薬品食品衛生研究所の支援にて実施しています。
※1: 当財団が実施する食品衛生外部精度管理調査はISO/IEC 17043(適合性評価-技能試験に対する一般要求事項)の認定を取得しております。
詳細につきましてはこちらをご覧ください。
※2:「食品衛生検査施設等の外部精度管理調査の実施機関について」、 平成9年4月1日衛食第118号
※3:「栄養成分等検査の外部精度管理の実施について」、平成29年4月20日消食表第225号
※4:「アレルゲンを含む食品の検査の外部精度管理の実施について」、平成31年4月23日消食表第186号
検査結果の秘密性の保持
各参加検査機関より提出された検査結果は、年度ごとに設定される個別のコード番号のみを用いて集計、解析されます。
そのため、調査結果報告書中において機関名が特定されるような記載が行われることは一切ありません。
外部精度管理調査手順
外部精度管理調査の流れ
食品衛生外部精度管理調査は図のような実施体系で行われており、以下の手順に従って実施されます。
参加申込
年度初めに参加機関に業務の案内状を送付しますので、参加を希望される項目を記載した参加申込書を返送していただきます。なお、参加は1項目から可能です。
年度の途中よりご参加を検討の検査機関におかれましては、当該調査項目の調査試料発送1か月前までに「お問い合わせフォーム(外部精度管理の参加申込・相談)」よりご連絡ください。
調査試料の送付
参加を希望された調査項目について年度計画に従って各検査機関宛に調査試料を送付します。
各検査機関で調査試料に関する検査を実施した後、 当財団宛に結果を返送していただきます。
なお、検査方法は各検査機関の標準操作手順書(SOP)に従って実施していただきます。 当方からの特別な指示がある場合にはその旨を連絡いたします。
統計解析
返送された検査結果をもとに、データの集計・解析を行います(詳細は統計処理参照)。
結果の公表
解析されたデータについて、厚生労働省(または消費者庁)と外部の専門家により構成される外部精度管理調査成績評価委員会における検討の後、調査結果報告書を作成し、各参加機関宛に送付します。
なお、食品衛生外部精度管理調査においては全調査項目の結果を一冊の調査結果報告書にまとめ、3月に送付します。
また、各調査項目の報告期限日から起算して1~2か月を目途に解析結果の速報を当ホームページで公表します。
統計処理
統計処理の手順
定量スキームにおけるデータの解析は、食品衛生外部精度管理調査では従来方式(厚生省食品衛生調査会食品規格部会精度管理分科会において討議検討された方法)、食品表示に関する外部精度管理調査ではロバスト方式(The International Harmonized Protocol for the Proficiency Testing of Analytical Chemistry Laboratoriesにおいて提唱されているHuberのH15法による方法)を主に採用しています。
解析に際し、他のデータから大きく外れた報告値の影響を排除するために、外れ値の除外等を行います。
これらの解析結果に基づき、以下の評価を行います。
- Xbar-R管理図による評価(食品衛生外部精度管理調査および特定原材料検査の外部精度管理調査)
工程の統計的管理の方法として用いられるシューハート管理図を代用し、複数個ある各検査機関の報告値の平均値をxbar、範囲をRとした評価法です。
Xbar管理図では、添加量または付与値を中心線とし、あらかじめ定めた管理幅で管理限界線を引いて評価を行います。
管理幅が絶対的な基準となるため、他の検査機関の報告値に影響されない評価を行うことができます。
一方、R管理図では、繰り返し測定におけるばらつきの評価を行います。 - 表示値の許容差の範囲に基づく管理図(栄養成分検査の外部精度管理調査)
栄養表示基準にある表示値の許容差の範囲を指標とした評価法です。
付与値を中心線とし、20%の管理幅で管理限界線を引いて評価を行います。 - z-スコア(すべての定量スキーム)
技能試験において一般的に用いられている評価法です。
付与値と標準偏差を用いて算出され、参加した検査機関の中の相対的な位置を表す指標となります。
JIS Q 17043:2011において、|z-スコア|≦2:満足、2<3|z-スコア|<3:疑わしい、|z-スコア|≧3:不満足との評価基準が示されています。
Xbar-R 管理図の例
z-スコアの計算式
定性スキームにおいては、報告値の正誤を判定して評価を行います。
内部精度管理試料(余剰試料)の頒布
更新日:2024年12月17日
内部精度管理試料として外部精度管理調査で使用したものと同じ調査試料(余剰試料)を頒布いたします。
頒布対象となる項目は以下のとおりです。なお、試料数には限りがございますので、在庫が無くなり次第受付を終了いたします。
2023年度余剰試料
項目 | 試料の形態 | 試料の量 | 対象物質等 | 発送日 |
---|---|---|---|---|
重金属検査 (23HM-S) |
玄米粉 | 約130 g | カドミウム | 販売終了 |
食品添加物検査 (23FA1-S) |
果実ペースト | 約180 g | 着色料 | 販売終了 |
食品添加物検査 (23FA2-S) |
果実ペースト | 約150 g | ソルビン酸 | 販売終了 |
残留農薬検査 (23PR1-S) |
ほうれんそうペースト | 約200 g | クロルピリホス、ダイアジノン | 販売終了 |
残留農薬検査 (23PR2-S) |
かぼちゃペースト | 約200 g | アトラジン、クロルピリホス、チオベンカルブ、 フェントエート、フルトラニル、マラチオン の6種農薬中の3種 |
販売終了 |
残留動物用医薬品検査 (23VD-S) |
豚肉(もも)ペースト | 約80 g | スルファジミジン | 販売終了 |
一般細菌数測定検査 (23MC-S) |
白飯 | 約100 g | Bacillus subtilis | 販売終了 |
栄養成分検査 (23NI-S) |
粉乳 | 約200 g | たんぱく質、脂質、ナトリウム、灰分、水分、 カルシウム、マグネシウム、リン |
販売終了 |
2024年度余剰試料
項目 | 試料の形態 | 試料の量 | 対象物質等 | 発送日 |
---|---|---|---|---|
重金属検査 (24HM-S) |
玄米粉 | 約130 g | カドミウム | 随時 |
食品添加物検査 (24FA1-S) |
果実ペースト | 約180 g | 着色料 | 1月15日 |
食品添加物検査 (24FA2-S) |
果実ペースト | 約150 g | ソルビン酸 | 随時 |
残留農薬検査 (24PR1-S) |
にんじんペースト | 約200 g | クロルピリホス、プロチオホス | 随時 |
残留農薬検査 (24PR2-S) |
ほうれんそうペースト | 約200 g | アトラジン、クロルピリホス、チオベンカルブ、 フェニトロチオン、フェントエート、フルトラニル の6種農薬中の3種 |
随時 |
残留動物用医薬品検査 (24VD-S) |
豚肉(もも)ペースト | 約80 g | スルファジミジン | 随時 |
一般細菌数測定検査 (24MC-S) |
ゼラチン基材 | 約90 mL | Bacillus subtilis | 随時 |
栄養成分検査 (24NI-S) |
プロテインパウダー | 約200 g | たんぱく質、脂質、ナトリウム、灰分、水分、 カルシウム、リン、ビタミンC |
1月28日 |
費用(送料を含む) 7,700円/個(税込)
内部精度管理試料をご希望の方は「お問い合わせフォーム(外部精度管理の参加申込・相談)」よりお願いいたします。