病理学的検査の目的
病理学的検査は、実験後の動物の器官・組織を光学顕微鏡や透過型・走査型電子顕微鏡を用いて観察し、医薬品、医療機器、化学物質等による生体に及ぼす影響を評価します。
病理組織検査または電子顕微鏡検査単独でのご依頼も承っています。
病理学的検査の概要
- 光学顕微鏡による観察
- 10%中性緩衝ホルマリンで浸漬固定した臓器をパラフィン包埋し、その後、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行い光学顕微鏡で観察します。
- HE染色以外にも目的に応じて染色方法を選択します。
- 電子顕微鏡による観察
- 厚さ80 nm程度の超薄切片を作製し、酢酸ウラニルと鉛の重染色を施した後に透過型電子顕微鏡で観察します。
食品薬品安全センターの病理学的検査について
病理組織学検査は日本毒性病理学会認定毒性病理学専門家が鏡検あるいはレビューを行っており、質の高い試験報告書を提供いたします。
化学物質を投与した動物のみでなく、医療機器を適用した臓器・組織の病理学検査も実施しており、医療機器による組織障害性や有効性の検証のための病理学検査も実施しています。
光学顕微鏡による観察
パラフィン包埋ブロックの薄切風景
左の写真はウサギの網膜で、10%中性緩衝ホルマリンで浸漬固定したパラフィン包埋HE染色標本です。
右の写真はラットの網膜で、1.25%グルタールアルデヒド・2%パラホルムアルデヒド混合固定液で灌流固定した樹脂包埋トルイジンブルー染色標本です。
電子顕微鏡による観察
電子顕微鏡観察用の超薄切片を作製するウルトラミクロトームです。
厚さ80nm程度の超薄切片を作製して酢酸ウラニルと鉛の重染色を施した後に透過電子顕微鏡で観察します。
左の写真はラットの精巣で、灌流固定後に樹脂包埋して作製したものです。
右の写真は同一標本の一部をトリミングして超薄切片を作製し、酢酸ウラニルと鉛の重染色を施した透過電子顕微鏡像です。
精巣組織は固定によるアーチファクトで細胞間の解離や細胞膜の崩壊などを起こしやすいですが、精巣用の灌流固定を行うことでアーチファクトを最小限に抑えることができます。
特殊観察/医療機器の安全性試験における観察
組織化学、免疫組織化学等の特殊染色や免疫電顕ならびにオートラジオグラフィー(光顕、電顕)等の手技による観察も可能です。
また、走査電子顕微鏡による医療機器材料の表面観察や血液適合性試験(血栓性)の血小板粘着、血小板凝集の観察も実施しています。
左の写真はラットの単球で、免疫細胞化学的に膜抗原を検出しています。右の写真は医療材料表面の走査電子顕微鏡像で、血小板の粘着が観察されます。