局所刺激性試験の目的
刺激性試験は、医療機器または化学物質等の被験物質が、生体各部の組織に対して組織傷害性、炎症誘起性あるいは刺激性を有するか否かを評価します。
細胞毒性試験、感作性試験とともに、ほとんどの医療機器で生物学的安全性評価項目として試験の実施が求められており、ヒトに比べて生体反応の感受性が高いとされている動物 (アルビノウサギ) を用いて試験を行います。
局所刺激性試験の概要
刺激性試験は、医療機器や化学物質等が生体とどのように接触するか、すなわち臨床適用部位によって選択する試験法が異なります。
皮膚に接触する医療機器は皮膚刺激性試験、眼組織に接触する医療機器は眼刺激試験、そして生体内組織に接触する医療機器は皮内反応試験、その他、粘膜組織に接触する医療機器は、口腔、腟、直腸、陰茎の粘膜に対する刺激性試験というように、それぞれ適切な投与・適用部位を選択します。
これは、医療機器に対する反応性が曝露部位 (組織) によって異なることに基づいており、医療機器の安全性は、臨床適用部位を考慮した適切な投与・適用経路で検索してこそ評価できるという考えです。
刺激性試験では、被験物質 (最終製品又は原材料) の抽出液だけでなく、被験物質の臨床適用方法あるいは性状により最終製品を用いるなど、より適切なリスク評価ができるものを選択します。
刺激性試験は、単回、あるいは24時間適用による一次刺激性を評価するのが一般的ですが、医療機器の接触時間あるいは繰り返して使用する場合などを考慮し、反復適用による刺激性の評価も必要となる場合があります。
そして、評価は肉眼的観察所見をもとに行う試験と病理組織学的観察も併せて行う試験がありますが、臨床での適用部位や接触時間などから肉眼的観察所見をもとに評価する試験でも病理検査の考慮が必要となる場合があります。
食品薬品安全センターの局所刺激性試験について
医療機器や化学物質は、臨床適用部位に応じた組織での試験が推奨されており、食品薬品安全センターでは皮膚刺激性試験、眼刺激試験、口腔、腟、直腸、陰茎の各粘膜での刺激性試験など、様々な試験メニューを取り揃えております。
また、必要に応じて病理組織学検査を組み込み、詳細な組織反応の評価も可能です。