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血液適合性試験(血栓性)

血液適合性試験(血栓性)

血液適合性試験(血栓性)とは

血液適合性試験(血栓性)とは

動的あるいは静的条件下で被験医療機器あるいは比較対照医療機器と接触させた血液中あるいは医療機器表面の各評価項目の変動を比較して評価します。

種々の医療機器に対して、血栓性評価に推奨される血液凝固、血小板活性化、補体および血液学の組み合わせは、ISO 10993-4のTable 1に例示されています。

試験方法

血液凝固

血液凝固は血漿中の多くの蛋白質が順番に反応し、最終的に重合したフィブリンを形成する系です。

重合して固体となったフィブリンは血栓の構成成分となります。

TATは血液凝固が進行した際に産生する物質であり、血液凝固亢進の指標となります。

血小板活性化

医療機器表面に血液が接触した時、血小板が活性化して血小板と血小板あるいはその他の血液成分と凝集物を形成することがあります。

これらの凝集物は血栓の構成成分となります。

β-TGは血小板が活性化した際に放出される物質であり、血小板活性化の指標となります。

血液と接触した後の医療機器表面に粘着した血小板の形態を走査型電子顕微鏡によって観察、あるいは接触させた血液中の血小板の残存率を調べることにより、評価することもできます。

血液適合性試験(血栓性):材料表面において活性化した血小板の走査型電子顕微鏡像
材料表面において活性化した血小板の走査型電子顕微鏡像

補体

補体系は古典経路、第2経路、レクチン経路および血液凝固系因子の関与などによって活性化され、いずれの経路もC3が分解されるルートで1つの経路に合流し、C5の分解を経て、最終産物C5b-9の生成に至ります。

したがって、C3やC5の分解物C3aやC5a、可溶化した最終産物SC5b-9は補体系亢進の指標となります。

血液適合性の評価においては、免疫毒性やアナフィラトキシンに関与する補体活性化としてではなく、血栓、血小板および白血球の活性化を亢進させ、血栓の形成に関与する補体活性化を評価対象とすることがISO 10993-4に記載されています。

血液適合性試験(血栓性):補体活性化経路への血液凝固系因子の関与
材料表面において活性化した血小板の走査型電子顕微鏡像

(J Immunol. (2010)3) を基に作成)

引用情報:3)Amara U, Flierl MA, Rittirsch D, Klos A, Chen H, Acker B, Brückner UB, Nilsson B, Gebhard F, Lambris JD, Huber-Lang M.(2010). Molecular intercommunication between the complement and coagulation systems. J Immunol. 185(9),5628-5636.

血液学

医療機器が接触させた血液におよぼす相互作用に関して、血液学は基本的な情報を与えます。

全血算(CBC)では、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値を測定します。医療機器表面において、血栓が形成された場合、接触させた血液中のこれら血球数は減少します。