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血液適合性試験

血液適合性試験

血液適合性試験の目的

血液適合性試験の目的

医療機器を血液に接触させた場合、血液凝固、血小板あるいは補体の活性化、血球成分への影響といった血液との相互作用が生じます。

しかし、多くの医療機器が顕著な副作用を起こすことなく使われていることからも、血液との相互作用の大きさには許容レベルが存在すると考えられます。

血液適合性試験は、医療機器と血液との相互作用が許容レベル以下であることを調べる試験です。

血液適合性試験の概要

血液適合性試験の概要

溶血性試験以外の血液適合性試験は、ガイドラインに試験方法の具体的な記載はありません。

血液適合性試験を実施するためには

  • ISO 10993-4 のTable 1とTable 2を参考に血栓形成、血液凝固、血小板、 血液学的項目、補体系の5つの試験項目(test category)から当該機器に必要な試験項目を選択します。
  • いずれの動物種の血液を用い、どのような試験系(in vitro,in vivo/ex vivo)において医療機器を血液と接触させるかを考慮しつつ、 選択した試験項目を評価するための評価項目(evaluation method)を選定します。
  • 試験試料の臨床使用条件を考慮しながら試験系を設定し、既存医療機器を対照物質として試験試料と同条件で試験します。

評価項目は、試験試料をどのような動物種の血液と、どのような試験系 (in vitro, in vivo/ex vivo) で血液に接触させるかによっても制限されます。

例えば、TAT、β-TG およびSC5b-9の測定には、ヒトの血液に適用可能な酵素免疫測定法 (ELISA) を使用するため、動物血を用いる試験系ではこれらの評価項目を選択することはできません。

評価項目に必要な要件や試験試料の臨床使用条件を考慮しながら試験条件を設定して医療機器と血液または血液成分を接触させます。接触後の医療機器表面や血液について、それぞれの変化を確認することによりリスクを評価します。

食品薬品安全センターの血液適合性試験について

ISO 10993-4:2017ではヒト血液での試験が推奨されております。

食品薬品安全センターでは新鮮なヒト血液を使用したin vitroでの血液適合性評価(溶血性試験、血栓性試験)が実施可能です。

また、ヒト血液の使用に関して、ヒト由来試料の使用に関する倫理規則に従って試験を実施しており、厚生労働省の研究倫理審査委員会報告システムに登録し、倫理審査委員会の活動状況や所内規程を公開しております。

血液適合性試験における試験項目と評価項目
試験項目(Test category) 評価項目(Tests by categories)
溶血性 材料起因 遊離ヘモグロビン測定 (ASTM F756-171))
機械的因子起因 実施しておりません
血栓性 In vitro 血液凝固 トロンビンアンチトロンビン複合体III (TAT)
血小板活性化
  • 血小板数 (減少率)
  • β-トロンボグロブリン (β-TG)
  • 走査型電子顕微鏡 (血小板の形態)
補体 補体活性化最終分解産物 (SC5b-9)
血液学 全血算 (CBC)
In vivo/Ex vivo 実施しておりません
引用情報:1)ASTM F756-17 Standard Practice for Assessment of Hemplytic Properties of Materials (2017)

血液適合性試験の実施が求められる品目(例)