染色体異常試験とは
染色体異常試験は、医療機器からの溶出物や化学物質によって誘発された突然変異を染色体レベルで検出する試験です。
染色体は、DNA複製後の遺伝情報が2つの細胞に分配される過程 (細胞分裂) で現れる紐状の構造体で、塩基性色素で染色することにより光学顕微鏡下で観察することができます。
試験方法
試験条件は、以下に示す3条件が用いられます。
- S9 mix非存在下で、細胞を被験物質に3~6時間処理したのち通常の培養液で培養する。 [短時間処理 (S9 mix非存在下)]
- S9 mix存在下で、細胞を被験物質に3~6時間処理したのち通常の培養液で培養する。 [短時間処理 (S9 mix存在下)]
- S9 mix非存在下で、細胞を被験物質に正常細胞周期の約1.5倍に相当する時間処理する。 [連続処理]
スライドグラス標本の作製は、染色体異常試験では処理開始から正常細胞周期の約1.5倍に相当する時間経過後に細胞を回収して行います。
染色体異常(構造異常)と派生して生じた小核(CHL/IU細胞)
判定方法および基準
染色体異常は、染色体切断が原因で染色体の形態が変化する構造異常 (遺伝子の質的変異) と染色体の数が変化する数的異常 (遺伝子の量的変異) に大別されます。
構造異常については、1個の細胞内の全染色体 (CHL/IU細胞では約25本、正常のヒトでは46本) の形態を顕微鏡下で分析します。
また、数的異常については、染色体数が数本増減する異数性 (aneuploidy) と染色体数が倍加する倍数性 (polyploidy) に分類されますが、株化した培養細胞では染色体数のばらつきが大きく、異数性の分析は困難であることから、染色体数が倍加した倍数性細胞の頻度を分析します。